「それはマルフォイがやったんだ!!」
「なぜ、そう思う?何か証拠はあるのか?」
「ただ、わかるんだ。」
「おまえは、ただ、「わかる」だと?。選ばれし者はさぞいい気分であろう。凡人には考えもつかない。」
(謎のプリンスより)
ハリーポッターは最高の映画だ(と思う)。賢者の石は2001年公開です。あれからもう20年も経つ。信じられません。主役の三人もすでに30代です。信じられません(大事なので2回言います)。2001年の賢者の石から2011年の最後の死の秘宝パート2までの10年間、ハリーポッターと同時期に10代を過ごしました。僕の人生に、闇の帝王は現れてきませんでした。あきらかに、僕はマグルだからです。ただの、さかうえだからです。闇の帝王に両親を殺されてもいませんし、額に傷なんてありません。一時期、ダークホースなんて言われたこともありましたが、僕はマジで普通のやつです。
大人になってから見返してみると、新たな発見があります。というか、単純におもしろい。ハリーポッターは11歳の誕生日を迎え、ホグワーツの入学案内が届きます。11歳は小学5年か6年でしょう。明らかにまだ、子供であるはずなのに、普通にケルベロス(フラフィー)と戦ったり、巨大チェス盤で勝負したり、キュレル先生と戦ったりしています。普通の小学5年か6年生が、本当に、そこまでやれるんかいということも言いたくなります。僕が11歳だったころ、遊ぶことしか考えていませんでした。ロン、ハーマイオニー含め、彼らの冷静な対応と、ポテンシャルの高さに脱帽です。
一方で、まだホグワーツ1年生の彼らがなぜ、問題に立ち向かうことになったのかは少し気になります。天才ダンブルドアを擁するホグワーツという安全な学校です。なぜ彼らが運よく学校の秘密を見つけ出すことができたのか。優秀な学生はたくさんいます。パーシーや、セドリックはできなかったのか。
そして、そもそも、なぜ安全な学校に危険が存在するのか。一作目を例にすると、賢者の石を手に入れるまで、さまざまな試練があります。それらは、ホグワーツの先生によって仕込まれたものですが、わずか1年生の彼らにその試練が破られてしまいます。それでは、あまりいい防衛策とはいえません。本当に隠したいなら、謎のプリンスで、ホークラックスを手に入れるために、ダンブルドアが麻痺水を飲んだ時みたいなやつを用意したほうが、防衛効果は期待できます。入学したての3人に侵入されるようでは、生徒の安全対策どうなっているんや。
ダンブルドアは言います。
「また、おぬしらを危険な目にあわせてしまった。」
ここであえて批判をぶち上げると、ダンブルドアは、危険の存在を認識しておいて、それについて、本気で対策を打っていないように思います。つまり、本気で危険から守りたければ、あらゆる手を打って、事前に、彼らを防衛する手を打つはずです。
たとえ3階は立ち入り禁止だとしても、その奥のケルベロスの部屋まで、難なく入れてしまうことは、かなり危険です。何なら、ハリー以外の人たちも、その部屋に入ってしまう危険だってあったのです。「(アラホモーラ)扉よ開け」という呪文を知っている者であれば、だれでも、ケルベロスの部屋までたどり着けます。もちろん、ケルベロスから先にはそう簡単には行けません。しかし、仮に、だれかが、ケルベロスの部屋まで、たどり着き、そこで、傷害を負ったとすれば、その責任は、アルバス・ダンブルドアの責任になることは、十中八九、確かでしょう。
もちろん、そうなる可能性は否定できません。ダンブルドアも予想はしていたと思います。しかし、そこまで、厳重に防衛策を施していなかった。これは要するに、生徒は、わざわざ危険な3階には行かないだろうという推測があったのだろうと思います。普通の生徒であれば、毎日授業に励み、図書室で勉強し、談話室で楽しい放課後を過ごすというルーティーンとなります。多少の好奇心があるとはいえ、わざわざ危険を冒すことはしないのかもしれません。
ハリーら3人が他の人と異なっている所は、「すべてを疑ってかかっている」というところです。先生の言ったことはなんか違う気がする。何を隠しているんだろう。どうればいいんだろう。彼ら3人は考えます。そして、さまざまな人脈を使って、その謎を紐解いていきます。彼ら3人のすごいところは、「圧倒的問題解決能力」だと思います。加えて、お互いに、信頼しあっている所だと思います。特にハーマイオニーは、真面目なだけあって、彼らの言動等を茶化したりしません。思っていることはしっかり言います。笑い話にしません。ちゃんと言っていることを聞き、そして、自らも言います。
「教科書の394ページを開け」
「狼人間??!!」
「先生、パットフットは習いましたが、狼人間はまだです」
「黙れ」
(アズカバンの囚人より)
そのような3人の関係性があったからこそ、学校の秘密を発見し、それをうまく、乗り越えられたのだろうと思います。ただし、本当にこの3人以外では、無理だったのか。なぜ彼らだけ、学校の秘密を暴こうというモチベーションが強烈に発生していたのか。彼ら以外にも、ケルベルスの存在を知っている人はいたでしょうし、その秘密を暴こうと動いていた人も、彼ら3人の他にも、存在していた気がします。少なくとも、学校中で、彼ら3人しか、考えていないトピックであったかといわれれば、たぶん違うだろうと思っています。選ばれし者であるハリーの圧倒的感性によって、なんとか成功をおさめます。
秘密の部屋では、ハリーの選ばれし者感が増していきます。誰も秘密の部屋の謎を解けないまま、犠牲者は生まれる。ハーマイオニーも犠牲にあう。このままでは、ホグワーツは閉鎖の危機となる。そんななか、ハリーはなんとか、秘密の部屋の入口を見つける。そして巨大な蛇との闘いに勝つ。まだ12歳で巨大な蛇と戦うことは僕にはできません。足がすくみそうです。動けなくなります。石になります。ハリーのおかげで、学校に平穏がやってくる。ここから完全に、ハリーしかできないこと、救世主ハリーによる世界を救う物語になってきます。
ダンブルドアは言います。
「また、おぬしらを危険な目にあわせてしまった」
最終的には、ハリーは気合いと幸運と信頼でなんとか闇の帝王を葬ります。ハリーがいなかったらどうするんだという感じですよね。魔法界には警察っていないんですかね。もしかすると、闇祓いが警察的な立ち位置かもしれません。映画に出てくる闇祓いといえば、アラスター・ムーディですが、彼も元闇祓いですよね。実質的に、不死鳥の騎士団が闇祓い的な立ち位置だったということかもしれません。
それに関連して、魔法界には、犯罪があるのか気になります。もちろん。魔法界においても、人を殺すことは、してはならないとなっていると思います。刑期はわかりませんが、殺人罪はあるでしょう。そしてほかにも、強盗罪や傷害罪は存在するのか。何かものを盗んだ場合、その始末は誰がやるのでしょう。魔法省がやるのか。そしてその犯人を捕まえるのか。ここで難しいのは、魔法界において、その被害者自身が、魔法でものを直したり、犯人を懲らしめる場合だってあるわけです。そうなると、わざわざ魔法省が出てきて、保証がどうとか、犯人逮捕がどうとか、そんなこと言う必要はなくなってしまいます。マグル界においては、自力救済禁止の原則が存在しています。裁きは司法が担うからです。そう考えると、魔法界は、自力救済のオンパレードですよね。なんなら、自力救済のための魔法なわけなので、べつにわざわざ魔法省がしゃしゃりでなくてもよくなります。
基本、争いは、各自でやって、なんとかしてもらう。マジでやばいときに魔法省がでてくる。そのための闇祓いだと思います。許されざる呪文を定めているのは、そのような背景があるからかもしれません。要するに、魔法省は許されざる呪文が使用される争いに力点を置いて、管理を行ってるのだろうと思います。
10代のころは、早く魔法学校から連絡こないかなと思っていましたが、今思えば、魔法学校に行ってたとしても、たいして変わらないかもしれないと思うようになってきました。要するに、僕は、ハリーポッターではありませんので、選ばれし者ではないわけです。勇気をもって挑戦なんてできっこありません。よくてシェーマスくらいな立ち位置なわけです。圧倒的凡人です。学校の秘密を暴いたり、人間を救ったりすることはできません。そのような凡人の魔法使いの行く末を想像すると、あまりかっこいいものではない感じもします。魔法界は依然として階級社会です。血統がものを言います。世知辛い人はずっと世知辛いです。魔法が使えるとは、単純に「能力」であり、血統がもの
をいうのはあきらかです。
はまってしまったので、これから原作も読んでみようと思います。